奈良県天理市 HAMA木綿庵 訪問記

ゴールデンウィークが終わってすぐの平日、奈良県天理市で木綿を栽培されているHAMA木綿庵を訪れました。2008年から、ひきこもりやうつなど心の不調をもつ方が気分よく過ごせる場所を、という目的で始められたそうです。


奈良盆地の東の山裾を南北に走る、万葉ハイキングコース「山辺の道:やまのべのみち」。

その山辺の道のほど近く、眺望の素晴らしいところに木綿庵(ゆうあん)の畑があります。

木綿庵は、不登校、ひきこもり、うつなど、「こころ」がうつむきがちになってしまった人たちが、こころ静かにご自分の心と向き合える「居場所」でありたいと、「居場所づくり」を目指して活動しています。


到着してすぐに、代表の梅田さんが迎えてくださり、ご自身の活動についてお話ししてくださいました。冒頭の目的をもって福祉的な意識を強く持っておられると同時に、毎年綿を育てていくなかで綿のことや糸、布について興味が広がっているようです。工房の中には日本各地から収集した綿のサンプルや、種取り機、紡ぎ車、織り機など、織にまつわる道具がたくさん並んでいました。


いま取り組んでいるのは、自ら育てた綿を糸に紡ぎ、布を織ること。とくに布を織るのは、この地域で江戸時代から使われていた大和機(やまとばた)とよばれる傾斜機を使う計画。一般的な織り機に比べて経糸のテンションを張らずに織るため、柔らかな風合いに仕上がるそうです。


ひとしきり布の話で盛り上がったあと、畑を見学させていただきました。先週蒔いた種が発芽した直後でした。今年は元肥、石灰、化学肥料を与えずに栽培するとのことです。


和棉、洋棉、それぞれいくつかの品種ごとに分けて栽培しています。

畑はいくつかに分かれており、定期的に来るメンバー共同で育てる区画と、メンバーごとに責任をもって育てる区画があります。綿だけでなく、たまねぎ、じゃがいも等の野菜も育てています。

一番奥にある畑には休憩所があります。ここにはフリーノートが置かれ、来訪者がその日の活動や、感想などを自由に書き記すことができます。

大和平野を見渡せる気持ちのいい景色の中、綿を育て、糸を紡ぎ、布を織る。とても豊かな環境でした。成長していく過程を見に、また伺いたいと思いました。

収穫した綿をすこし譲っていただき、ガラ紡で糸を紡ぎ腰機で織ってみました。

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