「人と大地を繋ぐ布」…

衣食住の1つとして、人類が太古から営んでいた糸を紡ぎ染め織る仕事。

機械化、大量生産が当たり前になった現代では、その手間のかかる仕事は遠い存在になってしまいました。

あえてその仕事を再考し、今も生産に励む作り手から学んだり、残された布、文献を研究しながら布を作る。

この作業を通して、古から受け継がれてきた作り手の工夫や、

地域や風土に根ざした素材の違い、手間がかかるだけではない作業の楽しさを感じることができます。

人と大地を繋ぐ布のあり方について、実際に手を動かしながら探っていこうという試みです。

ワタからはじまる糸づくり

 インド有機栽培綿をはじめ、日本国内の在来木綿も使用し、ガラ紡機といわれる紡績機械をつかいワタから糸を作ります。信州の発明家・臥雲辰致が考案したガラ紡機は、明治10-20年代に活躍しましたが、稼働効率の低さや糸の不均一さ、強度の弱さなどから欧米の紡績機に席巻され、産業の表舞台からは姿を消してしまいます。大量消費社会にとっては不必要となってしまった機械ですが、手紡ぎに近い紡績原理で紡がれるその糸味は肌なじみが良く、人間がもともと営んでいた染め織りのプロセスに調和します。

草木染

藍や茜、ヤマモモなどの自然のものを使い、自然のスピードに従う染め方を重視しています。
木綿をしっかりと染めるためには時間がかかります。これはセルロースによる単一構造が染着を妨げるためです。そのためにあらかじめ糸を大豆の汁に浸けたり、長時間の染色と媒染をなん度も繰り返すことが必要です。
また木綿は堅牢度も低いために、使用を繰り返すごとに色が退色していきます。しかし、ジーンズが使用を経て美しい色合いに変化するように、「退色」と捉えるのではなく、色が大地にかえる過程を楽しむことはできないでしょうか?

このように一見すると負の要素と思われる上記のようなこと(堅牢度、時間がかかる、等)を違う視点から考察し、古来から受け継がれてきた草木染めの美を追求したいと考えています。

織り

「織る」という行為は、ともすると絡みあったり切れてしまう糸を、ととのった方形の布へかたちを与えるわざです。そこには綜絖(そうこう)・筬(おさ)などの人間の叡智が宿った革新的な発明があり、また、素材・用途に適した様々な道具の使い分けや工夫があります。小さな布研究所では、織りの原点である腰機(こしばた)織りの研究に力を入れ、手織りでしか生まれない布の風合いやデザインを志向しています。

小さな布研究所

・染織講座・ワークショップ講師
・糸の開発、草木染、織物作品の制作
・染織・手工芸のリサーチ、デザイン


代表:内村航

1990年 神奈川県生まれ
2013年 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 テキスタイル専攻 卒業
2013年 澤井織物(東京・八王子市)にて織物生産、企画に従事
2016年 岩立フォークテキスタイルミュージアム(東京・目黒区)学芸員
2020年 小さな布研究所 創設
2022年 奈良県生駒市に移住

・腰機を染織研究家・工藤いづみ氏に師事
・染色を草木染研究家・山崎和樹、山崎広樹の両氏に師事


これまでのワークショップ・講演

草木工房(神奈川県) 木綿糸染定期講座・腰機講座 講師(2022.9〜現在)
西予市野村シルク博物館(愛媛)
aiko miyauchi(滋賀)
bonon kyoto(京都)

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