2023インドの旅 その2
1月22日(日曜日)
夜行バスでアフマダーバードからカッチ地方へ。バスは寝台になっており、カーテンで仕切られている。個室かと思いきや、途中から青年が隣に入ってきた。カッチ出身だそうで、テンションが高く仕事についていろいろと話してくれた。ホロスコープを職業としており、アプリの監修?なども行っているとのこと。ホロスコープはインドではれっきとした職業で、専門の学校もあるらしく、彼はこの仕事で2人の子どもを養っているそうだ。そのうち話が終わり、眠りに落ち、翌朝カッチの県庁所在地ブージに到着した。
今までずっと仕事上で知識を得ていた手仕事の宝庫、カッチ地方に遂に足を踏み入れることができた。
インド国内には染織に関連した数々のNGOがあり、とくにカッチ地方では国内外のメーカー、デザイナーと現地の職人や産地の橋渡しをする活動が盛んである。そのカッチのNGOのひとつ、シュリュージャンが母体の複合施設、LLDC(Living & Leraning Design Center=生活とデザインを学ぶ施設)でウィンターフェスティバルが開催されていた。1年に1回開催されるというこのお祭りでは、毎回異なるテーマにそって展示や出展、ワークショップ、ステージ演奏などが企画される。今年は「牧畜(Pastoral)」というテーマでデシウール(在来羊)をめぐる作品や展示が行われていた。
入り口では羊や山羊の人形がお出迎え
場内には本物のラクダも左には羊飼いの格好をした男性
おそらくラバーリーのコミュニティと思われる女性によるデシウール(在来羊)の糸紡ぎのデモンストレーション
プライスプリットといわれる技法で編まれたラクダの腹帯の作品
おそらくデシウールと思われるラグ。もともとの羊の色を生かした配色である。
牧畜生活を表した織り作品
これだけでも大変充実したものだが、午後はLLDCの常設展示もあるので、そちらもじっくり鑑賞。もともと現地のコミュニティーが持っている刺繍技法を記録するために組織されたというLLDCの活動がわかりやすく紹介されていた。カッチ地方には69ものコミュニティがあるそうな。とくにアヒールと呼ばれる人々の刺繍に特化してリサーチをしており、その調査だけで大きな1冊の本も出している(Under the Embroidered Sky: Embroidery of the Ahirs of Kutch, 2010)。手仕事である刺繍の文様をプログラミングのように捉えて分類、整理、アーカイブ化していく作業といえばいいのか、その方向性への迷いのなさ、解像度の高さは圧だった。
Pastoralと刺繍のアーカイブで情報が整理しきれないが、とりあえず夕方からはライブ鑑賞。カッチ地方とカシミール地方のグループのコラボ。たしかカッチのグループはMzharuddin aliakbar and his group。砂漠で生きてきたことを感じさせる素晴らしい歌。タブラの生音は生で聴くと、低音が体に響きわたり心地よい。ターバンや白い服は彼らの伝統的な衣装で皆それぞれに決まっている。
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